額装マットと名曲喫茶

前回の日記の最後にちょっと書いた額装マットを作ってみました。

この微妙な色合いの紙は書道用の半紙。
うちの母が昔趣味でやっていたのだけど、もう使わないから道具を処分するというので、その中にあった色付きの半紙を、先日ちらっと実家に帰ったときに貰ってきた。


▲うっすら模様が入っている


▲犬用サイズで作ったけどこれもいけるかな?

しばらくこれで柚木展の余韻を楽しもう。

 

ところでその柚木展の帰り、渋谷まで歩いて名曲喫茶なるものに立ち寄ってみたので、その話もついでに。

名曲喫茶ライオン(注:HP音が出ます)

居酒屋や風俗店が立ち並ぶごちゃごちゃとした渋谷の路地の一角にこんな店があるとは・・・て感じなんだけど、この店の創業は昭和元年。まだ何もないただの田舎だった渋谷が、いろんな時代を経て今のようになるまでの歴史をずっと見てきたお店なんですね。

勇気を出してドアを開けると、大音量の音楽が鳴り響く薄暗い空間が(不思議なことに外にはそれほど音が漏れていない、窓が開いているのに)。若い店員さんが「お二人ですか。会話はできませんけど大丈夫ですか」と確認してくれる。お好きなお席へと言われたけど、見たところ1階の席は埋まっている様子だったので、奥の階段を上って2階に空席を見つけて座る。赤い布張りに白いカバーのかかったレトロな椅子とテーブル。

写真が撮れなかったので伝えにくいのだけど、店内は吹き抜けになっていて、一方の壁に2階の天井まで届くでっかいスピーカーが設置されている。そして座席は全てそのスピーカーに対面する方向に並んでいる。ほとんど2人席で、前の座席との間隔もけっこう狭いので、なんか電車かバスに乗っているような感じ。

座るとこれまた若いアルバイト風の店員さんが、飲み物のメニューと今月のプログラムを置いて行ってくれた↓


▲ちょうど15時からの定時コンサートをやっているところだった(この日は18日)

コーヒーを頼んで、音楽に耳を傾ける。パリパリ音の混じった古い録音のオーケストラがこの空間に合い過ぎている。周りを見回すと(あまりよく見えないのだが)やはりひとりで来ている人が多いようだけど、観光客っぽい外国人のグループもいたり。みんなおしゃべりはせず、静かに音楽を聴いている様子。なんだか不思議な空間。

ちょっと話はそれるが、少し前にNHKで「まんが道」のドラマの再放送をやっていたので見ていたら、トキワ荘の住人の誰かが「ステレオもらってきたぞ~!」つって四畳半の部屋に大きなステレオセットを持ち込んで、住人たちがわ~っと大騒ぎで集まってきて、「何聴こう?」「最初はやっぱり、ベートーベンじゃろ!」とか言ってみんなでステレオの前に座って大音量で運命を聴いていたら、トキワ荘のマドンナ的姉妹がそこへ訪ねてきて、「私たちも一緒に聴いてもよろしいかしら?」「どーぞどーぞ!」ってみんな喜んで四畳半にぎゅうぎゅうになって正座して運命を聴く…とかいう話をやっていて、若者たちがこんなに有難がって嬉しそうにクラシックを聴く時代があったのかということに驚いたのだが、なんかそれを思い出した。

ここではそんなに緊張した雰囲気ではなく、おしゃべりの声こそしないが、注文を取る店員さんの囁き声や、人が歩くときの床の軋み、パソコンのキータッチの音(電源のある席が少しだけあるらしい)なども聞こえるので、すごく静かというわけでもない。みんなリラックスして思い思いの時間を過ごしているようだった。

コンサートタイムが終わると、今流れていた曲を紹介するアナウンスが。このあとはお客さんからのリクエスト曲がかかるはずだけど、どんな曲が来るのかしらと思っていたら、「続いて、ブルックナー交響曲第5番、〇〇(聞き取れず)指揮、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団…」とアナウンスがあり曲が流れ始めた。そろそろ帰る時間だったので、冒頭を少しだけ聴いて店を出たが、どういうお客さんのリクエストだったんだろうな。ていうかブル5は全部流すんだろうか、そしたらその次にリクエストをしている人はけっこう長いこと待ってないといかんよな・・・いろいろ疑問は浮かぶ。

とにかくちょっと面白い時間を過ごせました。
近かったらたまに行ってみたいお店だけど、なんせ渋谷だからなー。

帰宅してからなぜかパンダ氏にブルックナー5番を聞かされましたよ。