松本旅2022・その2

松本旅2022・その1のつづき。

松本民芸館を出た後、また自転車を走らせて、鈴木鎮一記念館へ。
スズキ・メソードの生みの親、鈴木鎮一氏のお住まいだった邸宅を記念館にしてあるそうです。私もパンダさんもスズキ・メソードの教育を受けたことはないんだけど、オケ友の中にはスズキ出身という方がけっこういる。せっかく松本まで来たし(コンサートホールへの道中にあるというのもあり)寄ってみた。


▲住宅街の中の普通の民家。
門のところに看板が出ていたので、辛うじて見つけられた。


▲玄関前の石碑「どの子も育つ、育て方ひとつ」
お邪魔しま~すと玄関を入ると、職員の方が出迎えてくれた。入場無料。他にお客はおらず、貸し切り状態。


▲レッスン室風の広い洋間に古い写真や賞状、勲章などの資料が展示されている
昭和56年の全国大会の写真とか・・・探せばこの中に知人のひとりくらいいそう。


▲奏法(ボウイング)についての書。とにかくすいつきが大事。


鈴木先生のドイツ留学時、アインシュタインが後見人だったそうな(!)
そして別れる際にアインシュタイン先生がくれたという自画像。アインシュタイン先生、絵もお上手(髪の毛モワモワ~なってる)。


鈴木先生愛用のヴァイオリンケース・・・中身は違うのかな?

鈴木先生の足跡や功績についての展示は多いけど、スズキ・メソードがどういうものなのかはぼんやりとしか分からないなと思っていたら、職員の方が、スクリーンでビデオを見せてくれた。見てもそんなには分からなかったけど(汗)とにかく世界のスズキ・メソードは仲間がたくさんいて楽しそうだ。そしてこのビデオを見た後、職員さんとちょっと個人的な話で盛り上がり、いろいろ楽しいお話を聞かせていただいた。


鈴木先生の書斎


▲昭和の香りのする応接間

ガイドブックにもあまり載ってないし、かなりマニアック(失礼)な記念館だけど、音楽好きにとってはなかなか面白いところでした。親切に案内してくださった職員さん、ありがとうございました。

 

さて、ここからもう少し北へ行ったところが今日のコンサート会場のキッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)。


▲ちょうど開場時間ごろに着いた。続々と人が集まってくる。

大型の観光バスが停まっていて、入り口の前で旗を持ったお姉さんが「終演後はこちらに集合してくださーい」などと言ってたりする。すごいな、遠方からバスツアーで来たりするコンサート。チャリで来ている人はたぶんあんまりいない(でも自転車置き場はホールのすぐ近くにありましたよ)。

1992年から始まって今年で30周年の「セイジ・オザワ 松本フェスティバル」、2020年と2021年は中止になり(昨年もデュトワさんは来てたけど、オーケストラコンサートだけ無観客収録の配信)、3年ぶりの開催だそうです。

今回のプログラム▼

武満徹:セレモニアル - An Autumn Ode -(笙    宮田 まゆみ)
ドビュッシー管弦楽のための「映像」
ストラヴィンスキー春の祭典

演奏    サイトウ・キネン・オーケストラ
指揮    シャルル・デュトワ

ハルサイ好きのパンダさん、中でも昔デュトワN響で春祭を振った伝説の名演奏がお気に入りだそうで、デュトワが春祭を振るならぜひ観たいということで今回来ることになったのだった。

しかし仕事の関係で本当に来られるかどうか分からなかったため、結局チケットを取ったのが完売直前の公演1か月前になってしまい、1階最後列(A席)しか取れずちょっと残念。でも席についてみると、最後列でもステージまでそんなに遠い感じもせず、音もスパーンとよく飛んできた。これはホールがいいのか、それともオケがすごいのか。

1曲目、武満徹のセレモニアルは30年前のオープニング・コンサートのために作られた曲で、笙も当時と同じ宮田まゆみさん。ホールで笙を聴いたのは初めてかも。透き通る不思議な響きに、厳かな気持ちになる。
2曲目、あまりなじみのないドビュッシーの曲、いかにもドビュッシー。1曲目では正直よく分からなかったオケの上手さがよく分かる。サイトウ・キネンって、全国(世界)のオケのトップやソロで活躍している演奏家たちを寄せ集めたオケで、そういう方々がこのときだけ集まって合わせるのって実際どうなんだろう、船頭多くしてなんとやらみたいなことにはならないんだろうか、などと生意気にもちょっと思っていたのだけど、やっぱり上手い人たちが集まって弾いたらすごく上手いという身もフタもない事実を知る。

そして3曲目、春の祭典。もともとそういう曲ではあるが、鬼気迫るという表現がぴったりな演奏。弦、ビッタビタのキレッキレやん!いやそんな弾く!?てくらい本気、そして緊迫のゲネラルパウゼ。すごい。
ていうか1曲目から思っていたことだけど、デュトワが元気すぎる。86歳!?詐欺やろ。この方ってテレビでよく見ていたので見たことある気になっていたが、実は生で見るのはこれが初めて。だけど私たちが知っているマエストロのまんまだった。美しくカッコイイ指揮。
春祭に思い入れのあるパンダさんは、ちょっと管がイマイチ・・・とか言っていたが(管のほうは当日急なメンバーチェンジが何人かあったらしい、もちろんそのせいかどうかはわからないけど)それをまとめ上げるデュトワが素晴らしかった、生きてるうちに(←どっちが?)見られて良かったとご満悦でした。


終演後、大喝采が続く中、デュトワ「さすがにもう疲れたわ、はよ帰ろうぜ」とコンマスを促してオケを退場させるも拍手鳴りやまず、全員ステージに再登場。手に持っているのは最終日恒例の県花「りんどう」だそうです。
2日前の公演では、カーテンコールで小澤征爾さんが車いすに乗って登場したそうで、この日もちょっと期待していたのだけど、それはなかった。和やかなムードで健闘を称えあいながら退場する皆さんとともに我々も退場。やっぱりこれって出演者の方々にとっても、年に一度の同窓会のようなお祭りのような雰囲気があるのかしら。OMFのTwitterにパートで撮った楽しそうな集合写真なんかがたくさん上がっていた。


▲パンフレットと「音ざ〇(オザワ)」手ぬぐい、もうこの色しか残ってなかった

爽やかな夕方の街をまたチャリに乗ってホテルへ戻る。帰りはずっと下りだから速い。

 


▲晩は駅前の居酒屋さんで信州ご当地グルメ

 

翌日につづく。