梅仕事2022

ちょっと時期を過ぎてしまったけど、今年も作ったので備忘録として。

 

今年はわざわざ小田原まで梅干し用の梅を買い求めに行きました。

このへんでは小田原の梅干しは名産品のひとつとして有名なんだけど、そこで作られている「十郎」という品種の梅が、梅干しにするのに最適だという話で。皮が薄くて種が小さく、実も柔らかくて、一度これで梅干しを作ったらもう翌年から他の梅では作れないというほどリピーターが多いとか(ほんまかいな)。しかしこの梅はほぼ小田原市内でのみ消費され、市外にはまず出回らないらしい。

これまで近所のスーパーや八百屋で普通に売ってる和歌山県南高梅でしか梅干しを作ったことのない私は、いっぺんこの梅で作ってみたいと思って、どうにか手に入れる方法を毎年探していたのだけど、JAや農家さんからの通販は5キロ以上とかでないと扱いがないし、たまに少量でネットショップに出ていたりするのは1キロ2000円以上したりしてけっこう勇気がいる。
うーん、5キロはやっぱりちょっとしんどい(在庫過多問題もあるし)・・・ならもう直接買いに行くしかない。ということで今年は6月半ばに片道1時間半かけて小田原へ出かけた。


▲JR小田原駅


▲駅前、梅干しのちん里う本店


▲古い梅干し(最古は天保5年(1834)!)コレクションのある博物館コーナー

せっかく来たのでちょっとお土産も買ってみたり・・・って遊んでいる場合ではない、生の梅を探さなくては。駅から徒歩で行ける範囲内で何件かスーパーなどを回ってみる。


▲途中で喉が渇いたので買った梅ドリンク、うまい

4~5件回ってみたけど、どのスーパーの梅コーナーにも南高梅と一緒に十郎梅が置いてあった。さすが小田原。値段はまちまちだけど1キロ1000円前後で、南高梅とだいたい同じくらいの印象。しかし十郎梅はあまり黄色いものはなく、青梅の状態で売られているものが多い。家で追熟させる前提ということか。もう少し遅い時期だったら出荷時から黄色いのも出回るのかな?


▲駅ビルのJA直売所で1キロ650円のを、スーパーで1080円のをそれぞれ購入

どちらも梅のサイズでは分けられておらず、いろんな大きさのが入っている。1080円のほうはまだ少し青いかなとも思ったけど、良い香りがしていたのでその日のうちに漬けた。650円のほうは全体的に青かったので、ざると新聞紙の上に広げて追熟させる↓



▲3日経つと上が下のようになったのでこちらも漬けた。ちなみにどちらも塩分15%でジップロック漬け。

ところでこの少し前にテレビ神奈川で、自分のとこで梅干し作りまでやっている十郎梅の農家さんを取材している番組をやってたので見ていたら、大量の梅をざぶざぶと水洗いした後、梅が濡れている状態で塩をまぶす(その方が塩が梅によく絡むから)というのをやっていてビックリした。水分が残っているとカビが生えるもとになるから、洗った後の梅はきっちり拭いて乾かす(そして焼酎を絡めて塩をまぶす)というのが定説だと思っていたのだけど、そういうわけでもないのか。いや、でもあれくらい大量に作る場合は上がってくる梅酢の量も半端ないだろうし、そんな少々の水分ごときでカビ生えたりしないのかも。


▲この程度の量の場合はやっぱりちゃんと拭いたほうがいい・・・ような気がする

その後、どちらのジップロックもいい感じに梅酢が上がったので、毎日梅の良い香りに満たされながらフンフ~ン♪としていたら、6月27日早くも関東梅雨明けとかで慌てる。梅雨が明けたら梅を干すというのが例年のスケジュールなのに、今年まだ紫蘇も入れてないやんけ。慌てて紫蘇を買いに行って塩揉みして、追熟させたほうの袋にだけ入れた。いつもは全部紫蘇梅にするのだけど、十郎梅は紫蘇を入れない白梅干しが基本だと聞いたので、半分は白にしてみることに。


▲赤紫蘇はこのへんでは群馬産以外ほぼ見かけない

そして7月、北海道旅行から帰ってきて、いよいよ土用干し。しかしいざ干そうと思うといまいちカラッとした晴天が続かない。まあ別に3日連続で干さないといけないわけじゃないけど、いつまでもザルを広げっぱなしにしたくないので、できれば短期集中で終わらせたい。最近天気予報もあんまりアテにならないし、ヤキモキしながらもなんとか晴れ間を狙って干し始める。

あ、その前に今年は梅布を購入した。


▲その名の通り、梅を干すための布

これを導入すれば、乾いた梅がザルにくっついてひっくり返すときに皮が破れてしまう問題が軽減されるらしい。十郎梅は特に皮が薄くて破れやすいということなので、せめてもの対策。

しかし紫蘇梅にしたほうのジップロックを開けてみると、梅ちゃんたち皆すでにやわやわのふにゃふにゃで、取り出して並べる段階で早くも何個か皮を破いてしまった・・・ショック。十郎梅は丁寧に扱わないといけないとやたら言われているのはこのことか。


▲白いのも全部並べて干す。赤いのの手前のほうが破れちゃったかわいそうな子たち

2時間くらい干して、一度ひっくり返す。ここで梅布の威力が発揮される・・・はずなんだけど、やっぱりくっついているのは梅布にもくっついている。確かに布が柔らかいのでザルよりはがしやすくはあるんだけど、そう思ってはがそうとして、ここでもやっぱり2、3個皮を破いてしまった・・・もう!十郎梅繊細すぎるやろ~!いや、私がガサツなだけです、はい。(その後、あまりにもはがれないものには焼酎をちょっとかけてはがすという方法でなんとかした。)


▲干し始めて約4時間後。

赤いほうはもう干し終わりでいいんじゃないかという柔らかさのものも。あんまり干し過ぎると中身がなくなってしまいそうだし、引き際の見極めはいつも悩ましい。ともかく仕上がったと決めたものから引きあげていき、紫蘇梅のほうは2日目でほとんど全て干しあがった。白いほうは干し初めはまだ固めなのが多かったけど、3日干すとどれもふくふくと柔らかくいい感じに。


▲こんな感じに皮がつまめるのがベストな仕上がり


▲それぞれビンに詰める。
別で干してカラカラになった赤紫蘇も一緒に入れてしまうのが我が家流。


▲約2週間後。どちらも少し嵩が減って全体にしっとり

白梅干しのほうは、柔らかいけど果肉もしっかり残っているし、梅蜜もたっぷり上がってきていて、わたし好みの仕上がり。紫蘇梅のほうはちょっと柔らかすぎるというか、もう少ししっかり肉厚なほうが良かったかな。最初に追熟させすぎたか、やや干し過ぎてしまったかも。まあこれはこれで良しとしよう。


▲白梅干しのほうを試食。うーん、すっぱい♪

十郎梅のポテンシャルを引き出せたかはわからないが、柔らかくて美味しそうな梅干しができて満足。本当の美味しさは、もう少し寝かせてからのお楽しみ。

とにかくこの梅の扱いには丁寧さが必要、イラチはダメよということを学んだ。試される忍耐力。自分の心の修行のために、たぶん来年も小田原まで梅買いに行きます。