梅仕事2020

今年も梅仕事をした話を書きかけたまま放置していて、気づいたらもう9月になってしまった。すっかり梅の時期を逃してしまったけど、せっかく書いたので上げます。

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ちょっと前の話ですが、たまたま見たカンブリア宮殿、チョーヤの回が結構面白かった。

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一昨年、京都にいたとき私も行った梅体験のできるお店が、今年鎌倉にもオープンしたそうで、連日予約の取れない人気ぶりだそう。チョーヤって本拠地は大阪(羽曳野)だそうですが、大阪でなくてわざわざ京都とか鎌倉とかに出店しているところが、何というか、あざといさすがです。
さらに昨年は銀座に梅酒バーをオープンさせたそうで(行ってみたい)、さぞかし大企業なんだろうと思ってたら、なんと社員数たったの130人の小さな会社だという話だからびっくり。さらに創業時はワインメーカーだったのを、社長が引退旅行で訪れたボルドーで本場のワインの素晴らしさを知ってしまい、「こら全然かなんわ」となって2代目からは「梅酒に転向しなはれ」ということで梅酒の会社になったんだそうな。そこからもいろいろあったらしいんだけどなんせ面白かった。オンデマンドで見られるみたいなので興味のある方はどうぞ。


さて梅仕事ですが、うちは今年は梅干しだけ作りました。
それが梅2キロを3袋に分けてジップロック漬けにしたのだけど、1袋だけなんか変なのが出来てしまった。梅酢が上がって、途中で紫蘇を入れて、干す段階まで特に変わったことはなかったのだけど、いざ干そうと思ってジップロックを開けたら、むむ?なんか変なニオイ!人工的な機械油のような、食べたらいかんもんみたいな匂いがするのだ。
梅酢をボウルに開けてみると、なんだか濁っている。カビたのかとも思ったけど、カビっぽいものが浮いているわけではない。もしかしてこれが発酵という現象なのか?でも梅の実自体はガスで膨らんだりしていないし、それに発酵なら甘い匂いがするというが、そういうのとは違う匂いだし。
ボウルにあけた梅酢は、しばらく置いておくと何かが沈殿して、上澄みは透明になった。実の皮がやぶれて果肉が出るとこういう状態になったりするらしいが、実にはそんな傷はない。なんなのよこれは~?

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▲とりあえず全部干す。

下段のが変な匂いの子たち。
実はこの子らは、買ってきたときまだ青かったのを寄り分けて、2~3日追熟させてから漬けた子たちだった。漬ける際もまだ充分な熟し方ではなかったものの、梅酢は一応上がったし大丈夫だと思っていたのだけど、なんか良くない梅が混じっていたのだろうか。

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▲匂い以外はまあ普通・・・全体的に固い感じだけど、まあこれはこんなもんでしょう。熟しが足りない梅で作った梅干しって、こんな感じで実も皮も固い(干すことで多少柔らかくはなるけど)。そして干からびるばかりで全然梅蜜が出ない。

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▲対してしっかり黄色く熟したのを漬けた梅は、干す前から皮がつまめるくらい柔らかかったりするし、干してる間にも梅蜜が出てくる。上の写真のしっとりしてるのは、まだ乾いていないのではなく、梅の実から湧き出るエキスによるものです。

やっぱり柔らかくてしっとりしているやつのほうが美味しそう(とはいえ、うちのばあちゃんが昔から作っていた梅干しは固いのが標準で、子どものころからそれを普通に食べていた私は、家庭で作る梅干しってそんなものだと思っていた。ので、そういう梅干しだと思えばそれも失敗というわけでもないと思うけど)。そして「柔らかい良い梅干しを作るためには、青い梅は追熟させてから漬けましょう」ってよく言われるのだけど、追熟が上手く行ったためしがないよね。青い梅は追熟させてもやっぱり青い梅なりの仕上がりにしかならんと思うのだけど。みんなそんなことないの?

話が逸れてしまった。で、変な匂いの子たちだけど、干してから夕方取り込むときに、まともな匂いの方の梅酢に戻す、そして翌日また干す、というのを2回くらいやったら、だいぶ変な匂いも薄くなってきた。3日干して、もうこれで完成というのをひとつ食べてみたら、匂いを気にすれば気になるかな~というくらいで、変な味は特にしない。まあ食べられないこともなさそう。
念のため他の梅干しとは混ぜないで、別のビンに入れて保管。1年後(うちの梅干しはだいたい1年くらい寝かす、そのほうが角が取れて美味しくなる気がするから)どうなっているか分からないけど、もしそのまま食べられる状態でなかったら、風邪のときおでこに貼るとかそういう使い道を考えよう・・・しかし結局どういうわけで変な匂いになってしまったのか謎だ。

謎と言えば、これも失敗というのとはちょっと違うけど、2016年に作った梅干しは、どういうわけか、保管している間にカピカピの塩が吹いてしまった。
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▲右のほう。カビみたいに見えるけど、塩です(たぶん・・・)

この年のは干してるときからあまり梅蜜が出て来ず、なんかいつもと違うな~と思ったんよね。たっぷりの蜜に浸っているその前年のとだいぶ違う感じ。塩分はどちらも同じ18%だし、保管場所も同じなんだけどね。このように塩が浮いてくることはままあることのようで、別にこうなったからと言って食べられないわけではない。しかしこれも、どうしてこの年のだけこうなったのかよく分からない。

塩といえば、2015年に漬けた小梅も、放置している間に塩が出てきたのだけど、こちらはきれいに結晶化してキラキラしている▼
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なんか条件がうまいこと重なるとこうなるんでしょうけど、これもなんでこれだけこうなったのか謎。ていうかこんなになるまで置いとかないで、さっさと食べてしまいなさいよという話なんですよね。でもついつい毎年多めに作ってしまって在庫ばかり増える・・・

毎年(と言ってもまだ7回目くらいですけど)作って思うことは、結局、どんな梅干しができるかというのは、ただもう漬ける前の梅の状態によるんじゃないかということですわ。塩加減とか清潔保持に気を遣うとか、基本的なことは必要だけど、それ以上人間が何をしようが梅干しの出来に影響することはほとんどないんじゃないかという気がする。つまり、良い梅干しを作ろうと思ったら、良い梅を選ぶこと、それに尽きるのではなかろうか・・・いやそんなことを言って、上達のための努力を放棄してはいけないとは思うものの、それ以上のコツが今のところ見つけられないのよね。それとも、もっともっと経験を重ねて熟練の梅干し婆になればまた違うんかしら。